イクメンな彼氏
「悠斗さんが悠理花ちゃんを連れてたから、君の彼氏って子どもいるのって聞かれたんです。

だから心配そうに見えただけじゃないですか?」

コーヒーとミルクの舌に広がる甘さに心を奪われてのんびりと答えると、ため息をついて悠斗さんが真顔になった。

向かい合ったテーブルの向こうから、身を乗り出して来て急に距離が近くなった。

真っ直ぐに見つめられる大きな黒目に、急にドキドキが加速して全身の血が頬に集まるのを感じる。

「比奈、俺は比奈が思っているよりも、ずっと独占欲が強いんだ。

だから……あんまり嫉妬させないで。
お願いだから……」

人の心を奪うような台詞を口にしながら、余りにも真摯な瞳で見つめてくる彼が何故だか頼りなく見える。

何かにすがっているような、何かを怖がっているような。

私と同じように彼にも怖いものがあるのかな?私も彼も、いつか乗り越えられるんだろうか。

私は唇をきゅっと結んで頷いた。
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