イクメンな彼氏
「ありがとうございます。
でも一人で帰れますから」

藤本さんの家とは方向が違うはず。
わざわざ送ってもらうなんて
申し訳ないし。

そう思って断ったけれど、彼は困ったような笑顔を向けてくる。

「保育園に忘れものをしてね、どうせ取りに帰るんだ。

君の家は通り道だし話し相手になってくれると助かるんだけど」

そう言われると断る理由もない。

悠斗さんと付き合う前には色々あった藤本さんだけれど、今ではお世話になっている先輩の一人だ。

「それなら……ありがとうございます」

素直に頭を下げる。
だけど悠斗さん以外の人と二人きりになることは久しぶりだ。

緊張が背中に走って思わず一歩離れるけれど、藤本さんは気が付かなかったらしく先に立って歩き出した。

「彼氏とは上手くいってるの?」

「はい」
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