イクメンな彼氏
固く決心したつもりだったけれど、高くそびえ立つタワーマンションを前にすると身がすくんだ。
緊張して強ばる指で部屋番号を押すと、「お待ちしてました。どうぞ」という落ち着いた声と共に自動ドアが開いた。
30~の表示のエレベーターに乗り込む。
バレンタインデーの時にここに来た時を思い出して切ない気持ちになる。あの時はこんな風になるなんて少しも思っていなかった。
どうして私たちの気持ちはすれ違ってしまったんだろう。
35階と同じように絨毯が敷き詰められた廊下を歩き、4001号室の前に立った。
「比奈さん、どうぞ」
悠斗さんのお母さんに案内されたリビングから見える景色は素晴らしくて、私はここに来た目的も忘れて息を飲む。
悠斗さんの部屋から見た夜景と同じ方向なのだけれど、5階の違いでまたさらに他のビルが低く見える。
東と南側に窓があるため見えないけれど、西向きに窓があったら夕陽が美しく見えるだろうと想像できた。
「ありがとうございます」
勧められたソファーに腰掛け落ち着かず目をキョロキョロさせていると、向かいに座った悠斗さんのお母さんが単刀直入に切り出した。
「悠斗と上手くいっていないの?」
余りにストレートな問いに言い訳する気にもなれず、私は事情を説明することにする。
正直誰かに話を聞いて欲しかった。
それが悠斗さんのお母さんになるとは思わなかったけれど。
緊張して強ばる指で部屋番号を押すと、「お待ちしてました。どうぞ」という落ち着いた声と共に自動ドアが開いた。
30~の表示のエレベーターに乗り込む。
バレンタインデーの時にここに来た時を思い出して切ない気持ちになる。あの時はこんな風になるなんて少しも思っていなかった。
どうして私たちの気持ちはすれ違ってしまったんだろう。
35階と同じように絨毯が敷き詰められた廊下を歩き、4001号室の前に立った。
「比奈さん、どうぞ」
悠斗さんのお母さんに案内されたリビングから見える景色は素晴らしくて、私はここに来た目的も忘れて息を飲む。
悠斗さんの部屋から見た夜景と同じ方向なのだけれど、5階の違いでまたさらに他のビルが低く見える。
東と南側に窓があるため見えないけれど、西向きに窓があったら夕陽が美しく見えるだろうと想像できた。
「ありがとうございます」
勧められたソファーに腰掛け落ち着かず目をキョロキョロさせていると、向かいに座った悠斗さんのお母さんが単刀直入に切り出した。
「悠斗と上手くいっていないの?」
余りにストレートな問いに言い訳する気にもなれず、私は事情を説明することにする。
正直誰かに話を聞いて欲しかった。
それが悠斗さんのお母さんになるとは思わなかったけれど。