イクメンな彼氏
「神崎さん、運動会の担当、僕とすることになったからよろしくね」
遅番で保育園に出勤すると、先輩保育士の藤本さんに話しかけられた。
藤本さんはこの保育園で唯一の男性保育士。私より3年ぐらい先輩に当たる。童顔で笑うと少年のような外見は、密かに園児のママさんたちに人気だという。
物腰は柔らかいけれど、自分の意見はなかなか曲げようとはしない頑固な一面もある、と同僚から聞いたことがある。
女性ばかりに囲まれて仕事をするには、そういう強さが必要なのかもしれない。
「はい、よろしくお願いします」
私は慌てて頭を下げる。
正直、沢山いる保育士の中でたった一人の男性と組むなんて気が重い。
「早速明日、打ち合わせでもしない? シエロビルで食事でもしながら」
何でもないことのようにさらりと投げかけられた誘いに、思わず「はい」と答えそうになって慌てて口をつぐむ。
男性と二人で食事……。そんなこと、もう何年もしたことがない。
「えっと……あの……」
あまりに経験も少なくて、こういう時どういう反応をしたらいいのかもわからない。
「食事は彼氏に怒られる? それなら勤務の後空いているクラスを使ってもいいけど」
申し訳なさそうに微笑んで、譲歩案を出してくれる藤本さん。
「彼氏なんていません」
慌てて否定すると、「じゃあ明日、食事でいいよね。じゃ、そろそろ園児のとこ行かなくちゃ」と小走りで行ってしまった。
明日……どうしよう……。
遅番で保育園に出勤すると、先輩保育士の藤本さんに話しかけられた。
藤本さんはこの保育園で唯一の男性保育士。私より3年ぐらい先輩に当たる。童顔で笑うと少年のような外見は、密かに園児のママさんたちに人気だという。
物腰は柔らかいけれど、自分の意見はなかなか曲げようとはしない頑固な一面もある、と同僚から聞いたことがある。
女性ばかりに囲まれて仕事をするには、そういう強さが必要なのかもしれない。
「はい、よろしくお願いします」
私は慌てて頭を下げる。
正直、沢山いる保育士の中でたった一人の男性と組むなんて気が重い。
「早速明日、打ち合わせでもしない? シエロビルで食事でもしながら」
何でもないことのようにさらりと投げかけられた誘いに、思わず「はい」と答えそうになって慌てて口をつぐむ。
男性と二人で食事……。そんなこと、もう何年もしたことがない。
「えっと……あの……」
あまりに経験も少なくて、こういう時どういう反応をしたらいいのかもわからない。
「食事は彼氏に怒られる? それなら勤務の後空いているクラスを使ってもいいけど」
申し訳なさそうに微笑んで、譲歩案を出してくれる藤本さん。
「彼氏なんていません」
慌てて否定すると、「じゃあ明日、食事でいいよね。じゃ、そろそろ園児のとこ行かなくちゃ」と小走りで行ってしまった。
明日……どうしよう……。