イクメンな彼氏
シエロビルは沢山のオフィスが入っている二つの高層ビルで、屋上は繋がって展望台になっている。
緑溢れるビルというのがコンセプトで、ビルの間にはイベントスペースがあり、西側には木々が植えられ人工的に川も作られている。その中にひっそりと建っているのが、いつものカフェ『green express』だ。
私と藤本さんは、シエロビル南棟のパスタ料理の店に入ることにした。窓側のテーブルに案内される。
「一応打ち合わせだからね」とソフトドリンクのグラスを合わせる。
ふと窓の外に目をやると、見覚えのあるスーツ姿の男性が向かいのビルから出てくるのが目に入った。
体にフィットしているのに窮屈そうではない紺のスーツ、スラリとした人物は間違いなく中津さんだ。
そして彼の後ろから、赤ちゃんを抱いた細身のスーツの女性が追いかけてくる。見慣れたその赤ちゃんは、悠理花ちゃんだ。女性の顔は悠理花ちゃんと重なって見えない。
三人は私の目の前を、ガラス越しに通りすぎていく。私は思わず立ち上がった。
中津さんがこちらに一瞬目を向けて、目が合った……気がしたけれど、すぐに前を向いて歩いていく。
緑溢れるビルというのがコンセプトで、ビルの間にはイベントスペースがあり、西側には木々が植えられ人工的に川も作られている。その中にひっそりと建っているのが、いつものカフェ『green express』だ。
私と藤本さんは、シエロビル南棟のパスタ料理の店に入ることにした。窓側のテーブルに案内される。
「一応打ち合わせだからね」とソフトドリンクのグラスを合わせる。
ふと窓の外に目をやると、見覚えのあるスーツ姿の男性が向かいのビルから出てくるのが目に入った。
体にフィットしているのに窮屈そうではない紺のスーツ、スラリとした人物は間違いなく中津さんだ。
そして彼の後ろから、赤ちゃんを抱いた細身のスーツの女性が追いかけてくる。見慣れたその赤ちゃんは、悠理花ちゃんだ。女性の顔は悠理花ちゃんと重なって見えない。
三人は私の目の前を、ガラス越しに通りすぎていく。私は思わず立ち上がった。
中津さんがこちらに一瞬目を向けて、目が合った……気がしたけれど、すぐに前を向いて歩いていく。