イクメンな彼氏
シエロビル25階のエレベーターを降りると、カウンターの向こうでは沢山の人が働いていた。数人がこちらに目を向ける。
以前にここに来たときは就業時間を過ぎていて人はまばらだったから、圧倒されてしまって思わず息を飲む。
やだ、何だか緊張してきちゃった。
私の姿を見付けて駆け寄ってきた中林さんが、「中津部長をお呼びいたします」と丁寧に頭を下げて奥に向かった。
気まずい思いで立ち竦むこと数秒、右奥から聞こえた柔らかい悠斗さんの声にギクリとした自分とほっとした自分がいた。
「比奈、わざわざごめんね。
助かったよ。ありがとう」
カウンター越しにファイルを渡すと、「何かあった?」悠斗さんが眉を寄せる。
「何でもない。悠斗さんの会社だから、これでも緊張してるの」
半分本当で、半分嘘。
だけど急いでいる彼は気が付かなかったらしく、「そっか」と笑っただけだった。
急いで準備したつもりだったけれど、結局到着したのは10時5分前。申し訳ない思いで私は彼を急かす。
「時間ないんでしょ。行って」
悠斗さんは頷いて2歩進んだ後、振り返って小悪魔みたいな笑顔を向けた。
「朝は寝顔しか見れなかったから、可愛い顔が見れてよかった。」
私は顔中が熱くなるのを止められない。
以前にここに来たときは就業時間を過ぎていて人はまばらだったから、圧倒されてしまって思わず息を飲む。
やだ、何だか緊張してきちゃった。
私の姿を見付けて駆け寄ってきた中林さんが、「中津部長をお呼びいたします」と丁寧に頭を下げて奥に向かった。
気まずい思いで立ち竦むこと数秒、右奥から聞こえた柔らかい悠斗さんの声にギクリとした自分とほっとした自分がいた。
「比奈、わざわざごめんね。
助かったよ。ありがとう」
カウンター越しにファイルを渡すと、「何かあった?」悠斗さんが眉を寄せる。
「何でもない。悠斗さんの会社だから、これでも緊張してるの」
半分本当で、半分嘘。
だけど急いでいる彼は気が付かなかったらしく、「そっか」と笑っただけだった。
急いで準備したつもりだったけれど、結局到着したのは10時5分前。申し訳ない思いで私は彼を急かす。
「時間ないんでしょ。行って」
悠斗さんは頷いて2歩進んだ後、振り返って小悪魔みたいな笑顔を向けた。
「朝は寝顔しか見れなかったから、可愛い顔が見れてよかった。」
私は顔中が熱くなるのを止められない。