イクメンな彼氏
あっという間に事件から１ヶ月が経過し、私は悠斗さんと共に実家に帰ってきた。

お父さんに彼を紹介するために。

この２週間私たちの間はギクシャクしていたけれど、その理由は私が避けていたからに他ならない。

しばらく荷物の整理をしたいから、と悠斗さんの反対を押しきって自分のマンションに戻り、モーニングにも行かず悶々とすごしていた。

忙しい彼から距離を縮めようとしてくることもなくて、久しぶりに二人で過ごすことになったけど、彼はいつもと変わらない優しい笑顔と穏やかで落ち着いた雰囲気を纏っていた。

７年ぶりに会ったお父さんは相変わらず無口だったけれど、悠斗さんを誘って二人でお酒を飲みに行っていた。

私を入れてくれなかったのはどうしてなのかわからないけれど、帰ってきた二人は親子のように打ち解けていて、私はほっと一息ついた。

洋介のことはテレビでも散々放送され、名前こそ出ないものの私に起こったことも地元では有名な話となっていた。

私が帰っていることを聞いて、わざわざ高校の時の友達が同窓会を開くと自宅まで伝えに来る。

好奇の目に晒されることは必然で、正直行きたくないな、と思ったけれど、やましいことは何もないんだと思い直して参加することにした。

「ごめんね。悠斗さんも一緒に来てるのに」
同窓会に連れていく訳にも行かず、旅館の客室で待っていてもらうことにする。

「いいよ。ゆっくり行っておいで」
彼は心配そうながら、微笑んで送り出してくれた。

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