イクメンな彼氏
そうして警察に追われる身となり、逃げる為に私の所に来た。

彼女とその母親は、重症だったものの二人とも回復に向かっていると耳にしていた。

「友達に聞いたんだけどね、里谷くんの彼女、浮気してたんだって。
それであんな事になったんだよ」
お酒が回って饒舌な彼女の暴露話に、その場にいた皆が息を飲んで耳を傾ける。

私もつい話の続きが気になって、帰るタイミングを無くしていた。

「浮気相手ってものすごいイケメンだったんだって。嫌でも目立つような都会の人って感じだったから、すぐにバレちゃったんじゃないかな。

浮気なんてしなければ傷害事件にまでならなかったのかもね。

看護師の友達が言ってたけど、その彼病院にお見舞いにも行ってたらしいよ。責任感じてるんじゃない？」

皆が「へー、恐いね……」なんて口々に話し合うのを遠くに感じながら、私は胸に黒い染みが広がったような気持ちになっていた。

都会的で、すごいイケメン……？
まさかね……。
< 214 / 232 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop