イクメンな彼氏
入り口入ってすぐにトイレとユニットバス
。その先に6畳の和室があるだけの部屋の机には、お酒と食べ物が溢れていた。

焼酎の瓶に、日本酒、ワイン。氷と水。
そして様々な種類のおつまみ。

「どうしたの?」
私は思わず目を丸くする。
普段悠斗さんはお酒を飲むけどグラス2~3杯、酔っぱらうほど飲むことなんてない。

悠斗さんが苦笑いして答えた。
「いや、お父さんとお母さんがね、一人だと思って気を使ってくれたみたいで。
夕食も食べ切れないぐらいだったんだけどね」

お父さんとお母さんの様子、想像がついてつい顔がほころぶ。私の大切な人だから、精一杯おもてなししてくれたんだよね。

真剣な話をしようと身構えて来たのに、出鼻を挫かれた私は逆に肩の力が抜ける。

お父さんとお母さんのお陰で、ちゃんと話出来そう……。

そう思って悠斗さんと隣同士に座る。何となく落ち着かなくて鞄を膝の上で抱え込むと、悠斗さんの方から声をかけてきた。
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