イクメンな彼氏
三日後の朝出来上がったプリントを『green express』で中津さんに 見せて「うん、いいんじゃない」の言葉をもらい、保育園にやって来た。

藤本さんを呼び出すと、覚悟してきたはずなのに緊張で手が震える。

中津さんの言う通り文書にしてきてよかった。もしも言葉で伝えるだけだったら、きっと思っていることの半分も口にできないだろう。

「どうしたの? 神崎さん」

穏やかな声音に振り返ると、奥様受けNo.1の藤本さんの笑顔があった。
それなのに私の身体は強ばる。

大丈夫……大丈夫……。

「運動会のことで、お話があるんです。

保護者からのクレームの対応は重要な問題ですが、年長クラスの種目を減らすと今度は年長児の保護者からクレームが出ると思うんです。

これ……読んでいただけませんか」

この数日何度も頭の中で繰り返してきたセリフを、早口で捲し立てた。

藤本さんが一瞬だけ面食らったような顔をした後、方眉を上げて目尻を下げる。
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