イクメンな彼氏
「比奈は勘違いしてる。
信じられないかもしれないけど、彼女とは何もないよ。

はじめは里谷と一緒に北海道に行ってくれないか頼んだんだ。
だけど別れたいんだって断られて、それなら別れられるようにアドバイスしてた。

確かに里谷と別れるから俺の彼女にして欲しいって頼まれたけど、比奈のことを言ってはっきり断った」

「私の……為に、彼女と会ってたの?」

てっきり彼女のことが心配だったからだと思っていた。
呆然とする私に悠斗さんは困ったような顔をした。

「それなら私にも、教えてくれればよかったのに」

「比奈は真っ直ぐだから、探偵に里谷のこと調べさせたり、裏から手を回して比奈から遠ざけようとするなんて嫌がると思った。

何も知らないままで上手くいけばいいと思ってたのに、ごめん、俺のせいで危ない目に合わせて……」

「もしかして悠斗さん、私に嫌われると思って言えなかったの……?」

そんなに自惚れてもいいの?

尋ねると悠斗さんは苦笑いしながら私を抱き締めた。
「比奈のことになると俺、情けないけどすごく臆病なんだ。
比奈に嫌われたくないって、いつも思ってる」
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