イクメンな彼氏
「だめだって言ったのに……」

口を尖らせた私に対して、彼ははだけたままの浴衣で肩肘をついて小悪魔的笑顔を見せる。

「2週間以上もおあずけくらってたのに、我慢は無理だろ」

「もうっ」と怒る私。
この幸せが、ずっと続けばいいのに。

洋介の彼女のこと、可哀想だと思う気持ちはあるけれど、あの事件が悠斗さんのせいだとは思わない。

彼女は遅かれ早かれ洋介から逃げ出そうとしただろうし、大変な目にあったけどやっと洋介と縁が切れたんだから。

目のやり場に困る彼の浴衣を合わせながら、私は彼に言った。これだけは言っておきたかったから。

「悠斗さん。
もう私に秘密で、一人で何でも解決しようとしないで。

それだけは私、怒ってるんだよ。
私もう、悠斗さんに守ってもらうだけは嫌なの。
いつも心配かけてばっかりだけど、私も悠斗さんのこと守りたい」

「一緒に動物園に行った時は比奈がうさぎみたいに怯えてて、俺が守ってあげなくちゃって思ったのに、強くなったね。

ごめん、もう比奈に秘密で勝手なことはしないって約束する」

私たちは二人で指切りした。
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