イクメンな彼氏
誕生日会は昨日済ませてきたから、今日は彼と二人きりでデート。

悠理花ちゃんの誕生日は私たちが付き合い始めた記念日でもあること、悠斗さんは覚えているから昨日誕生日会にしてくれたんだと思う。

去年の告白を思い出して頬が緩み、今なら空を飛べそうなくらいに足取りが軽くなる。
走りたい気持ちを押さえて足早に歩く。
ダメダメ、もしも転んだりしたら大変。

会いたい気持ちが膨らんでカフェまでの
10分がとても長く感じる。やっと近づいてきたシエロビルの明かりを目前に、イルミネーションに彩られた木々の隙間を通って『green express』にたどり着く。

2階の窓の悠斗さんと目が会うと軽く手を振ってくれて、私は直接階段を上ってガラス扉を開いた。

「早かったね」私がプレゼントしたオレンジのダウンジャケットを羽織って鞄を手にした彼が私の手を取る。

手袋することも忘れて急いできたものだから、手は氷のように冷たくなっていた。
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