イクメンな彼氏
「神崎 比奈さん」
去年と同じシチュエーション。

心臓が口から飛び出して来そうなくらいドキドキして、私はごくりと息を飲む。

「俺と結婚して下さい」
次に彼が紡いだ言葉は去年とは違って、だけれど私の期待通りで、また私の涙腺は簡単に崩壊する。

本当に私でいいの？
心の中で呟いて、口には出さずに彼を見つめた。口に出したらまたきっと、甘ったるい言葉をかけられるに決まっているんだから。

「はい」
泣き笑いみたいな声で返事をすると、悠斗さんが破顔した。

「良かったー。これでも緊張してたんだ」
よしっ、なんて拳を握りしめて喜ぶ姿が子どもみたいで可愛い、なんて思ったことは秘密にしておこう。

こんな悠斗さんを見れるのは私だけなんだよね、そう思って胸がきゅんとなる。

いつもやられっ放しの私だけれど、今日だけは悠斗さんを驚かせる報告があるんだ。驚いて、喜んでくれたら最高なんだけど。
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