イクメンな彼氏
「へぇ、色々考えてくれたんだね。
読ませてもらうよ。ありがとう」

時間があるのかすぐにプリントに目を通し始めた藤本さんが目の前にいる。私の背中には緊張が走った。

自分の考えはきちんと書いたつもりだ。
大丈夫……大丈夫。

「ふぅん、確かにこれなら年中、年少組の保護者も納得するかな。
具体的にどの程度年少と年中の負担を増やすかを考えなくちゃいけないね」

何か呟きながら読み終えた彼は、困ったような表情で口を開いた。

「君が子どもたちのことを真剣に考えているのがよくわかったよ。
この方向で行こうか」

「本当ですか!? ありがとうございます!!」

頭を下げると彼は苦笑して「それじゃあ後のことはまた相談しよう」と子どもたちのところへ戻っていく。

良かった。
自分の気持ちが伝えられただけじゃなくて、藤本さんの同意も得られた。

ここ何年も思っていることが伝えられずにもやもやした気持ちを幾度も抱えてきた。

こんな達成感は味わったことがなかった。

中津さんのおかげだ。
何かお礼をしなくちゃ。
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