イクメンな彼氏
ランチを食べ終わってカフェラテを飲もうとしていると、熱い風の匂いがしてドアが開いた。

入ってきたスーツ姿の男性をチラリと横目で確認し、私は少し驚いて思わず二度見してしまう。

さらさらの黒髪は前髪だけ少し流していて、濃くて長い睫毛の下にはくっきりとした二重瞼。目鼻だちの整った美しい顔はどうみても20代半ばといったところ。

女性の目を引く要素は十分だったけれど、私も含め店内の女性たちが注目していたのは、彼が赤ちゃんを抱っこしていることだった。

後ろからついてくる女性はいない。
下で注文してから来るのかな、どんなお母さんなんだろう、と興味本意で思うが、母親らしき人は現れず、彼は赤ちゃんと二人でランチを食べはじめた。
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