イクメンな彼氏
「でも藤本さん、具体案から保護者への説明まで全て手伝って下さいましたよね」

私のプリントを読んでからはむしろ藤本さんの方が積極的なくらいで、得意のスマイルで保護者が納得するよう説明してくれた。

おかげで今回のことで、私は川中さんと話したことすらない。

「君のおかげで目が覚めたから。

子どもの成長を手助けしたくてこの仕事をしてたのに、いつの間にか保護者の顔色ばっかり伺うようになってた。

今日の子どもたちの様子を見て、この仕事が好きだって久々に思えたよ。
ありがとう」

思わぬ言葉に「いえ、その、私は、何も……」なんて口ごもりながらうつむいてしまう。

藤本さんが考えてくれた縦割り種目の障害物競争。

跳び箱からジャンプする時に年長児が下の子と手を繋いであげたり、網を持ち上げて先に潜らせてあげたりとお兄ちゃん、お姉ちゃんぶりが際立つ内容だった。

子どもが好きでなければ考えられないし、保護者たちも子どもの成長を十分に感じられたと思う。
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