イクメンな彼氏
やっとの思いでポツリと呟いた私に、葉月も「そっか」と呟く。

好きになっちゃダメだって釘を刺されてたのに私を責める様子もなくて、こういう時の葉月はひたすらに優しい。

「大丈夫……もう、会わないから……」

何にも言わない葉月の手が頭の上に乗って、よしよしされる。小さな頃から辛いことがある度こうしてくれたっけ。

私たちではどうにも出来ないことは沢山あって、それでも葉月がこうしてくれると元気が出た。
もう少し頑張れそうだと思った。

葉月の手は、柔らかくて温かい。

一度だけ感じたことのある中津さんの意外と骨太な手を思い出して、よけいに涙が出た。

私、ちゃんと忘れられるよね。
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