イクメンな彼氏
私は彼から、ミルクの匂いのする赤ちゃんを受けとった。
「悠理花」という名前の彼女は、おそらく八ヶ月ぐらいだろうけど、はっきりとした二重瞼が印象的な可愛らしい赤ん坊だ。

色白で透き通るような肌も、彼によく似ている。

「お仕事中ですか？」
スーツ姿の男性と赤ちゃん。お母さんが混じれば何てことない光景だが、二人きりだと不思議な感じがする。

職業柄片親しかいない子どももたくさん見てきたけれど、やはり母親が多く、父親が育てている場合はお祖母さんの助けを受けていることがほとんどだった。

「うちは家族で仕事をしているんでね、この子の母親が子連れではできない仕事中なので、今は私がみているんです。でも、子ども連れって大変なんですね」

苦笑いする彼。
そうそう世のお父さんたち、母親の苦労もわからなくちゃダメですよ。なんて思いつつ、優しそうな人だな、とサンドイッチをほうばる彼を盗み見る。
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