イクメンな彼氏
……近いです。
恥ずかしくて、好きで、たまらないです。

忙しくなった心臓、熱くなった手からスマホが抜き取られた。

「居場所を知られたくない時は設定をオフにしとけば大丈夫。電源切っててもGPSは有効。これでいい?」

中津さんから返されたスマホには、新しいアプリが増えていた。

中津さんになら、どこにいるのか管理されたっていい。私が設定をオフにすることなんてきっとない。
そんな風に思うのは、今彼のことしか考えられないからなのかな。

「予約の時間遅れるよ」手を握られてドキドキしながら握り返す。

彼に連れて行かれたのは、有名なホテルの上層階。夜景の見えるレストランの……恐らくすごくいい席。

目の前には、まるで宝石箱をひっくり返したかのような光の粒たち。

ここをクリスマスイブに予約するのって、きっとすごく早くでないと取れないよね。

中津さんにとって、私はそれほど大切な存在だと思っていいのかな。
なんて、そんなの自惚れすぎだよね。
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