イクメンな彼氏
ブルルル……ブルルル……。
「「乾杯」」
とグラスを合わせるようとした時。
スマホが震えてる。無視したいと思ったけれど、しばらく待っても動きが止まらないものだから仕方なく鞄から取り出すことにした。
『お母さん』
ディスプレイに表示される文字に顔をしかめる。
もう一ヶ月だっけ?
前に会ったのは11月のいつだったかな。
そういえば確かに一ヶ月経ったかも……。
ぼんやりと考えていると、中津さんにスマホを取り上げられた。
「比奈、まだ仕事終わらないの!?
チキンが冷めちゃうから早く帰ってきなさいよ」
お母さん……このタイミングで……しかも、声が大きいよ。
中津さんの手にあるスマホから、私にまで届く大声。
「もしもし、突然申し訳ありません。
比奈さんとお付き合いさせて頂いております中津と申します。
今比奈さんはお手洗いでして。戻りましたらお伝えいたしますので、少しお待ちいただけますか」
な、中津さん!
突然の行動に狼狽する。お母さんもきっとものすごく驚いているだろう。
「あのっ、それはご丁寧に、あのっ比奈に、いえ、すいません」
また大声が聞こえた瞬間、私は彼からスマホを奪い返した。
「お母さん。ごめんね突然。でも大丈夫、本当に優しい人なの。
心配するような人じゃないから」
お母さんは小さな声になって「本当に……?」と尋ねてくる。
「うん。だから、今日はちょっと遅くなる……かな」
「「乾杯」」
とグラスを合わせるようとした時。
スマホが震えてる。無視したいと思ったけれど、しばらく待っても動きが止まらないものだから仕方なく鞄から取り出すことにした。
『お母さん』
ディスプレイに表示される文字に顔をしかめる。
もう一ヶ月だっけ?
前に会ったのは11月のいつだったかな。
そういえば確かに一ヶ月経ったかも……。
ぼんやりと考えていると、中津さんにスマホを取り上げられた。
「比奈、まだ仕事終わらないの!?
チキンが冷めちゃうから早く帰ってきなさいよ」
お母さん……このタイミングで……しかも、声が大きいよ。
中津さんの手にあるスマホから、私にまで届く大声。
「もしもし、突然申し訳ありません。
比奈さんとお付き合いさせて頂いております中津と申します。
今比奈さんはお手洗いでして。戻りましたらお伝えいたしますので、少しお待ちいただけますか」
な、中津さん!
突然の行動に狼狽する。お母さんもきっとものすごく驚いているだろう。
「あのっ、それはご丁寧に、あのっ比奈に、いえ、すいません」
また大声が聞こえた瞬間、私は彼からスマホを奪い返した。
「お母さん。ごめんね突然。でも大丈夫、本当に優しい人なの。
心配するような人じゃないから」
お母さんは小さな声になって「本当に……?」と尋ねてくる。
「うん。だから、今日はちょっと遅くなる……かな」