イクメンな彼氏
「503だったよね、どんな部屋か楽しみだな」

緊張がピークの私にお構い無しで中津さんはどんどん進む。オートロックのマンションだけどちょうど同じタイミングで入る人がいて、鍵を探す手間もいらなかった。

『ピンポーン』
帰宅を知らせるためにチャイムを鳴らすと、間髪入れずにドアが開いた。

「足音がしたからもしかしたらと思って。
あの……初めまして。比奈がいつもお世話になっています」

お母さんは中津さんを認めると目を丸くして頭を下げた。

「こちらこそ、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。中津 悠斗と申します」
堅苦しい雰囲気を柔らげようと、私は努めて明るい声で彼を部屋に案内する。

といっても一人暮らしのワンルーム。

玄関から進むと右手にトイレ、その横に浴室、左手にキッチンがあって、奥に5畳半の部屋。ユニットバスがどうしても嫌でこの部屋を選んだのだけれど、その分部屋はかなり狭い。

その上部屋の半分はソファーベッドが占めていて、今はベッド状態なので座る所もない。とりあえずベッドをソファー状態にして中津さんに勧める。
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