イクメンな彼氏
「神崎さん、お願いしますよ」
園長に声をかけられて気持ちを引き締める。
中津さんのことを考えている場合じゃない。今は仕事に集中しなくちゃ。

今日は来年うちの保育園に入園してくる予定の子どもたちと、その保護者への説明会の日。

大勢の人の前で話をするのは苦手だけれと、保育士になったからにはそんなことは言っていられないよね。

いつもより大きい心臓の音を感じながら集会室のドアを開ける。

「おはようございます。
本日入園説明会の担当をさせていただきます、神崎と申します。
よろしくお願いします」

お辞儀をして顔を上げると、30名ほどの子ども達とその保護者がこちらに注目していた。

保育園は入園してくる年齢が様々なので、下は0歳児から上は5歳児まで、泣いたり遊んだりしながらそれぞれ保護者と共にいるのが見える。
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