タクティスに染まる頃
カチャカチャと食器のぶつかる音や,水が流れる音で目が覚めた。

母さん…帰ってきてる。

あたしは,ベッドから降りると,リビングへ向かった。

「おはよ,ご飯食べるでしょ」

リビングのドアを開けてすぐに,母さんがキッチンから出てきてそう言った。
バターの匂いに,お腹が鳴った。

あたしは黙って席に着くと,母さんが大きい皿を持ってきた。

「美和,オムライス好きだったでしょ」

テーブルに置かれたオムライス。

覚えててくれたんだ。
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