タクティスに染まる頃
入ってすぐに,線香の匂いがした。

「そこに座って」

仏壇の前を指差され,あたしは言われた通り座った。
仏壇に飾られた写真。
いつもの真優の笑顔が,そこに写っていた。

手を合わせ,強く目を瞑った。


真優…遅くなってごめんね…


「美和さん」

真優のお母さんに呼ばれて,目を開けた。
< 174 / 239 >

この作品をシェア

pagetop