タクティスに染まる頃
「俊貴…??」

あたしの髪が,何かに濡らされている。

「泣いてるの?」

「泣いて…ねーよ…」

あたしは,それ以上何も言わなかった。

タクティスの匂いが,懐かしい。

「俺が,戻ってきて,お前が高校卒業したら…」

耳元で囁かれる言葉。

「結婚して…」
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