タクティスに染まる頃
それからも,その男はこっちを向かなかった。

「これから,走るらしいんだけど,まだいる?」

里子が「いるよね?」と目で言っている。

あたし達は頷いた。

龍平さんは,微笑んで真っ赤な車を指差した。

「あれに乗って」

ものすごく高級そうな,大きな車だった。
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