タクティスに染まる頃
月の明かりと,薄明かりの電灯しかない道が,バイクの光と音でお祭りになっていた。

「気持ちぃ…」

ボソッと漏れた言葉。

「だろ?」

男が,チラッと後ろを向きながら言った。

こんなにうるさいのに,あたしの声なんて,聞こえるの?

そう言おうと思ったけど,止めた。
静かに,この風を感じていたかったから。
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