タクティスに染まる頃
「美和」

ドアに手をかけた時,初めてあいつに名前を呼ばれた。

「俺の物になれ」

「え?」

ゆっくりと振向いた。

「俺の物になれ」

そこには,真剣な顔と,鋭く光った目があった。

「ば…か,言ってんじゃねーよ…。」

俊貴の目に見つめられたあたしは,金縛りにあったかのように,体が動かなかった。
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