タクティスに染まる頃
「ほら!」

顎を無理矢理上に向けられると,間近に俊貴の顔があった。

「プッ」

あたしの顔を見るなり,噴き出した。

「泣いてんのかよ,泣き虫」

「うるせーな!」

掴まれた腕を振り上げ,俊貴から離れようとした時だった。

あたしは,甘い香りに包まれた。
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