恋愛温度差
「シメはラーメンですか? 雑炊ですか?」

「どちらもいりません」

 もうおなかいっぱいだし。

 早く帰りたいし。

「んじゃ、ラーメン頼みますね」

 君野くんは、店員を呼ぶと一人分のシメラーメンを頼んだ。

 課題クリアのための夕食。

 楽しくしようと頑張ったけど、意見があわずに沈黙へと変更。

 君野くんは本当に沈黙の重たい空気を気にせずに、一人でラーメンをすすると鍋を中身を空っぽにたいらげた。

「んじゃ、そろそろ行きますか?」

「はい」と私は上着を羽織ると、鞄を肩にかけた。

 スッと君野くんが伝票を手にする。

「あ、割り勘で」

「いえ。俺が払います。俺の課題ですから」

 君野くんは私に首を振ると、さっさとレジへといってしまった。

 ジーパンの後ろポケットに入ってる財布を出すと、私がレジに到着する前にお会計を済ませていた。

「やっぱり割り勘のほうが……」

 私の気持ち的に。

 割り勘がいいんですけど、ね。

「大丈夫です。気にしないでください」

 君野くんがお店のドアをぐいっと開けながら、返事をした。

「では、お言葉に甘えまして。ご馳走さまでした」

 私は君野くんの背中にぺこりと頭をさげた。

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