恋愛温度差
君野くんの言葉を受けてどれくらいの時間がすぎたのかわからない。
「明日の金曜日」という君野くんの声かけに、私は脳細胞を再起動させた。
「用事があります」
とっさに出たのは拒否の言葉だった。
「ですよね。失礼しました」
君野くんが律義に頭をさげたので、私のつられて頭をさげた。
「ケーキのご用意をしますので、空いているお席に座ってお待ちください」
私は窓際のほうに手を差し出して、移動を促した。
君野くんは「はい」と静かに返事をすると、長い手足を動かして、窓際へと移動する。
『姫宮 あかりさん……明日の金曜日ってあいてますか?』
君野くんの言葉が脳内でコダマする。
なにが起きたんだろうか!?
私はケーキを取り出すために、腰を落とした。
すると少し離れたところで立っていた兄嫁の茂美さんが腰を落として、私の隣に近寄ってきた。
「どーーーして断っちゃったの!? 金曜日って予定ないって話してたじゃない」
「なんとなく?」と私は返答しながら首を傾げた。
「イケメン君に誘われたら、予定があっても『うん、大丈夫』って言わなきゃ!!」
茂美さんがきらきらした期待の目で話しかけてくる。
今からでも遅くない、暇ですって言ってきなよ~っと言わんばかりの表情だ。
「いや、でも。おかしくないですか? 彼はクロサキの手下ですよ。クロサキに言われて偵察してこいって言われたに違いないですよ。年増の女は、イケメン年下ボーイに弱いってところを突いてきたに違いないです」
「ええ~!? 黒崎くんってそういう人間じゃないよ~。光ちゃんの同級生だし。情報を聞きだしたいなら、光ちゃんに直で聞くと思うけど」
たしかに。黒崎さんはお兄ちゃんの同級生で、真っ向勝負タイプでコソコソと動くような腹黒いヤツじゃない。
でも……裏があるに違いない。
じゃなきゃ、23歳のオトコが32歳の女に「金曜日暇か?」なんて聞くはずがない。
「明日の金曜日」という君野くんの声かけに、私は脳細胞を再起動させた。
「用事があります」
とっさに出たのは拒否の言葉だった。
「ですよね。失礼しました」
君野くんが律義に頭をさげたので、私のつられて頭をさげた。
「ケーキのご用意をしますので、空いているお席に座ってお待ちください」
私は窓際のほうに手を差し出して、移動を促した。
君野くんは「はい」と静かに返事をすると、長い手足を動かして、窓際へと移動する。
『姫宮 あかりさん……明日の金曜日ってあいてますか?』
君野くんの言葉が脳内でコダマする。
なにが起きたんだろうか!?
私はケーキを取り出すために、腰を落とした。
すると少し離れたところで立っていた兄嫁の茂美さんが腰を落として、私の隣に近寄ってきた。
「どーーーして断っちゃったの!? 金曜日って予定ないって話してたじゃない」
「なんとなく?」と私は返答しながら首を傾げた。
「イケメン君に誘われたら、予定があっても『うん、大丈夫』って言わなきゃ!!」
茂美さんがきらきらした期待の目で話しかけてくる。
今からでも遅くない、暇ですって言ってきなよ~っと言わんばかりの表情だ。
「いや、でも。おかしくないですか? 彼はクロサキの手下ですよ。クロサキに言われて偵察してこいって言われたに違いないですよ。年増の女は、イケメン年下ボーイに弱いってところを突いてきたに違いないです」
「ええ~!? 黒崎くんってそういう人間じゃないよ~。光ちゃんの同級生だし。情報を聞きだしたいなら、光ちゃんに直で聞くと思うけど」
たしかに。黒崎さんはお兄ちゃんの同級生で、真っ向勝負タイプでコソコソと動くような腹黒いヤツじゃない。
でも……裏があるに違いない。
じゃなきゃ、23歳のオトコが32歳の女に「金曜日暇か?」なんて聞くはずがない。