恋愛温度差
―旺志side―
「ワンピースにカーディガン……」
「ああ、悪いな。あかり、似合わないよな~。お目汚し失礼しました~!! 兄として謝罪します」
光さんが、さっきまであかりが座っていた椅子に腰をかけてから、ぺこりと頭をさげた。
本気の行為なのか、冗談交じりの行為なのか。俺にはよくわからない。
が、気分は良くない。
お目汚しなんかじゃない。
あかりは、そのままで十分きれいでカワイイ。
ジーパンTシャツ姿だって、ワンピース姿だってどちらでも、あかりはあかりだ。
いくら兄妹だからって、『お目汚し』なんて言ってほしくない。
「店に入ってからの旺志、テンションダダ下がりだもんなあ~。ほんと、まじで、あかりがイヤなんだろう? 悪いな~。黒崎からの命令だからって……年上の無知オンナの相手はきついだろ? それで靴擦れなんておこして、一晩一緒ってさあ。地獄じゃね? ほんと、申し訳ない。あそこまで魅力のない30代おとな女子になるとは、俺も予想してなくてさ。年齢を重ねれば、重ねるほどオンナはより『オンナ』を身に着けていくって勝手に思っていたからなあ。妹を見てて、それは違うって理解したけどな」
ははは、と笑い声をあげてから、光さんが売り場に戻っていったあかりを横目で確認し、「まじ、似合わねえな」とぼそっと呟いていた。
この人は本気で、あかりが魅力のない人間だと思っている。
「似合わなくて当然ですよ。あのワンピースは茂美さんの服なのでしょう? 茂美さんのラインと、あかりのラインは違いますから」
「ああ…たしかに。って、え??? 『あかり』??」
俺の呼び方に、引っ掛かりを感じたのか、眉がぴくりと動いて、光さんの視線が俺に戻ってきた。
「ワンピースにカーディガン……」
「ああ、悪いな。あかり、似合わないよな~。お目汚し失礼しました~!! 兄として謝罪します」
光さんが、さっきまであかりが座っていた椅子に腰をかけてから、ぺこりと頭をさげた。
本気の行為なのか、冗談交じりの行為なのか。俺にはよくわからない。
が、気分は良くない。
お目汚しなんかじゃない。
あかりは、そのままで十分きれいでカワイイ。
ジーパンTシャツ姿だって、ワンピース姿だってどちらでも、あかりはあかりだ。
いくら兄妹だからって、『お目汚し』なんて言ってほしくない。
「店に入ってからの旺志、テンションダダ下がりだもんなあ~。ほんと、まじで、あかりがイヤなんだろう? 悪いな~。黒崎からの命令だからって……年上の無知オンナの相手はきついだろ? それで靴擦れなんておこして、一晩一緒ってさあ。地獄じゃね? ほんと、申し訳ない。あそこまで魅力のない30代おとな女子になるとは、俺も予想してなくてさ。年齢を重ねれば、重ねるほどオンナはより『オンナ』を身に着けていくって勝手に思っていたからなあ。妹を見てて、それは違うって理解したけどな」
ははは、と笑い声をあげてから、光さんが売り場に戻っていったあかりを横目で確認し、「まじ、似合わねえな」とぼそっと呟いていた。
この人は本気で、あかりが魅力のない人間だと思っている。
「似合わなくて当然ですよ。あのワンピースは茂美さんの服なのでしょう? 茂美さんのラインと、あかりのラインは違いますから」
「ああ…たしかに。って、え??? 『あかり』??」
俺の呼び方に、引っ掛かりを感じたのか、眉がぴくりと動いて、光さんの視線が俺に戻ってきた。