Sweet Love
お父さんもお母さんも失った私は、生きてる心地がしなかった



なにがなんだかわからないまま、自転車を引いて帰る



いつもの帰り道なのにまるで違うところにいるように感じる



私もうどうしたら…



「宮本?」



なんて思っていたら工藤先生に話しかけられた



「工藤先生…」



「どうした?」



「なんでもない…」



「なんでもなくないだろ?顔色かなり悪い」



「死んじゃった…」



「え?」



「お母さんがっ…!お母さんが死んじゃったのっ…!」



「な…んで…」



「飛び降りたの…駅から…お父さんのことがあってからお母さんは、ぼーっとするようになった…仕事にも行かなくなったから私がバイトしてたの。それから、段々とお母さんは元のお母さんになっていった…」



「そんなことが…」



私は涙目になるが泣きたくなかった1番つらかったのはお母さんだから。



「それで今日、1人で買い物に行くって言い出したの。私は心配だった。いつまたなにか起こるかわからなかったから」



あの時1人で行かせたのが間違いだったんだ…



「だけど、お母さんは大丈夫って微笑んだの…だから、信じて行かせた。でも、ちっとも帰ってこなかった。電話したら出たんだけど、近くのスーパーじゃなくて違うスーパーで買い物してたの」

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