絶望の部屋(再)
一也が死んでかれこれ1時間ぐらいたった。
 
 
途中で七海と栞が来て「一也が死んだのならもう芝居は終わりにする。
いいように使わせてもらった」泣きながら七海は僕にそう言って栞とともに何処かへ行ってしまった。
 
 
芝居か…。
 
 
なんの涙なんだよ。
芝居でも一也の死に同情したのかよ。
あの楽しかった日々は全て偽りだったのかよ。
 
 
いいように使われて役立たずだけ生き残ったから捨てるか…
生き残ってるのが一也ならまだ一緒に行動していたのかな。
 
 
僕の生きる意味は?
一也を失い、彼女だと思ってた人に騙されその友達に騙されいいように使われ最後は捨てられる。
 
 
 
「なぁ一也…
 
ここに来ていいことなんて何もないよこれならこんなところ来なかったらよかったよ。なぁ返事してくれよ…」
 
 
返事がかえってこないのは当然だよな。だってもう一也は死んでるんだから当然なのになぜか僕は一也に話しかけていた。
 
 
死んだ人間は話さない。
死んだ人間は動かない。
死んだ人間は生き返らない。
そんな当然のことを信じるのが嫌だった。
 
 
「なぁ一也…。僕どうすればいいんだよ?
 
あっ、そうだ。まだここに来る前に話そうとしてた話きいてないよ。なぁいつまでそうしてるつもりだよ。なぁ無視すんなよ一也…」
 
 
死んだ一也の胸のあたりを叩きながら僕はただこうやって死んだ一也に頼ることしか出来なかった。
 
 
 
何時間たっても信じることが出来ないまま横たわる一也の横で何もしないまま時が過ぎて行った。
 
 
 
前かがみに座り続けた僕の胸元から何かがふと落ちた。
 
 
そうあの手紙だ。
僕が1番辛いと思う時に読むように一也から言われた真理亜からの手紙だ。
 
 
僕は落ちた手紙を急いでひらって読み始めた。
 
 
だがその手紙の内容は僕には信じられないものが書いていて言葉を失ってしまった。
 
 
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