絶望の部屋(再)
「あら、的が死んじゃいましたか。
 
じゃあ次の的は…松下君あなたが的です。」
 
 
松下と呼ばれたそいつは端の方でずっと震えているいかにもダメなやつっぽいやつだった。
 
 
腰を震わせながら立つその様は少し笑すらこぼれてしまうものだった。
 
 
よくこれで生き残ってこれたな…。
あ、そうか誰かと一緒に来た感じのやつなんだな。
僕と一也みたいに一也みたいな頼りになる奴がこいつにも居たがこのゲームで違う班になったもしくは一也と同じく死んだのか…
 
 
まぁ怖いのはわかるがやるしかないんだからしっかりしてほしいものだ。
このゲームを楽しんでるやつなんているのかな…。。
いや、いるな。
少なくとも知り合い?と呼べるかはわからないが真田はきっとこのゲームも楽しんでいるだろう。
そしてこのゲームも勝ち上がって来るはずだ。
 
 
ここまで生きてきてなんだか僕の記憶が飛び飛びなのは気になるがなんだか真田とも他人には思えなくなってきていた。
 
 
なんだったけなあいつって…
 
 
とか考えてるうちにまた辺りが真っ暗になり僕は闇に消えるようにしゃがんで死角をなくした。
 
 
そしてヘタレそうな松下は本当にヘタレだったらしくあっちでガタガタと音を立てていてそれに気づいた撃つ側の誰かが松下を撃ちあっという間に電気がついた。
 
 
 
「あー…なんと言うか。人選ミスですね。
 
死んで当然のクズは邪魔なので消します。」
 
 
ゼツボウがそうゆうと松下の死体が宙に浮き出しバキバキと音をたてながら松下の死体は液状の気持ちの悪いものに姿を変えてしまった。
 
 
ここにきてかなり死体を見るのには慣れたが今までに1番酷いものを見せられて少し気分が悪くなるほどだった。
 
 
 
このゲームも後残すところ5人か…。
たぶん僕以外はみんな1発は弾を撃ってるはずだからこのゲームで圧倒的有利なのは僕だ。
 
 
このゲームはいかにして撃たずに撃つかが勝敗をわける。
最後の1発になれば待ってるのはよくて相打ち、悪ければただの無駄死にだ。
よって3発とも撃っていない僕は圧倒的有利な立ち位置に今いる。
 
 
だけど僕だけ撃っていないとなれば絶対僕が狙われるのは決まっている、だから…
 
 
僕は銃の弾を2つ取り出しポケットの中に隠しておいた。
 
 
これでよしと。
後は芝居するだけだ。
 
 
 
「ふぅ。クズの処分も終わったことですし次の的を選びたいと思います。
 
 
 
うーん…では金城君、的をお願いします。」
 
 
 
「えっ!まじか。
 
的やってて生きたのまだ最初の新庄だけだろ…。死ぬ確率の方が高いじゃん…」
 
 
そう1人でブツブツと言い出したのはチャラそうな金髪の少しイケメンの男だった。
 
 
こいつが人生に絶望してる感じは全くないからたぶん付き添いタイプだな。
 
 
「なぁ新庄だったよな…?
 
 
なんか生き残るのにコツとかあるのこれ?」
 
 
「えっ…。ごめん僕にはわからないよ。
 
ただ怖くてしゃがみこんでいたらいつの間にか明かりがついて撃つ側の人が死んでたから…」
 
 
「そうか…。急に話しかけて悪かったな。
 
 
もし知ってても普通教えないよな。生き残れるのは1人っぽいし…」
 
 
 
そうだよ。
馴れ合いなんて意味ないよここじゃ。
 
 
悪いやつではなさそうだが僕にはどうしようもできないこの問題の前では見捨てることしか出来ない。
 
 
 
今知り合ったばかりのやつに情けをかけて自分が死ぬのはごめんだからね…。
だから申し訳ないけど死んでもらうしかない。僕が勝って2人に会うために。
 
 
 
「それでは的の準備も整ったみたいなので暗闇射的スタート。」
 
 
< 110 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop