絶望の部屋(再)
僕達がこの部屋を出た数分に何があったのか…
 
 
僕達を含め10人居たはずの人がたった数分の間にパッと見るだけで4人は死んでいた。
 
 
「た、たすけてくれ…。」
 
 
助けてとか細く聞こえる声の方に僕はパッと振り返った。
 
 
そこには眼鏡をかけたいかにも頭の良さで勝ち上がってきたっぽい奴が地面をはいながら助けを求めてこっちに向かって来ていた。
 
 
「大丈夫ですか…!
 
 
あのここで何があったんですか?」
 
 
「わからない。なんだか意味のわからない奴が急に暴れ出してみんなを殺し始めたんだ…。」
 
 
その誰かはある程度この時点で検討がついた。
 
 
果たしてそれがどっちかなのかそれとも両方なのかそこだけが問題だ。
 
 
「僕もそいつに足を切られてもう歩けないんだ…。
 
 
早くこっちに来て助けてくれよ。あいつがまた来てしまうだろ。」
 
 
 
僕は眼鏡の弱々しそうな男の異常な震えと恐怖におびえる表情から危険を察知し急いで眼鏡の男の方に向かった。
 
 
 
距離にして2、30mぐらいの距離で走れば一瞬で着く距離だった。
 
 
だが僕が駆け足で助けに向かった瞬間眼鏡の男の後ろの物陰からあいつの姿が出てきた。
 
 
そいつは右手に刀を持ち、服は殺した人の血がついて真っ赤に染まっていた。
 
 
「遅かったな新庄。」
 
 
バッと右手の刀を眼鏡の男の首めがけて振り抜いた。
 
 
「あ、あれ…。」
 
 
眼鏡の男は首を切り落とされ殺された。
 
 
「お前なんで殺したんだよ。
 
こいつらがお前に何かしたのか?」
 
 
「お前を殺すための準備運動をさせてもらってたんだよ。
 
 
それに見ろよこの表情。人の死ぬ時の顔ってたまらねぇんだよな。」
 
 
 
「お、おい。栞は。栞はどうしたんだ。」
 
 
「栞?誰だそれ。」
 
 
「ここに居る七海ちゃん以外の女の子の生き残りだよ。」
 
 
「あぁ、あいつか。
 
 
それなら真田とかゆうやつが追っていたぜ。たぶんもう死んでるんじゃねぇの。」
 
 
 
「死ぬわけない。死ぬわけないよ栞は。絶対生きててくれてるはずだ。」
 
 
「そんなことはどうでもいいんだよ。
 
 
俺はここから出るためにお前の命が必要なんだよ。
俺の希望はお前を殺し自分の強さを証明すること。そして絶望はお前と言う最大の敵が居なくなることなんだよ。だからお前にはここで俺の生きる糧となってもらうからよ。」
 
 
 
「勝手にすればいいよ。
 
 
七海ちゃん僕がこいつを食い止めておくから真田と栞を探して来てくれないかな。」
 
 
 
「わかったわ。
 
 
あんたも死ぬんじゃないわよ。栞にはあんたが必要なんだから。」
 
 
七海はそう言って栞を探しに走って行った。
 
 
 
栞生きていてくれ。
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