絶望の部屋(再)
「やっと…やっと楽しめる時が来たぜ。
 
 
ずっとお前の強さが気になっていた。
あの金の鬼を倒した時は震えた。お前は俺以外の誰にも殺させない…。」
 
 
 
 
ブツブツと永遠に呪文の様に桐谷は震えながら言っていた。
 
 
「おい桐谷。
 
 
お前僕を殺すことが絶望と希望って言ったよな。」
 
 
「あぁ、それこそが俺の追い求めたもの。
 
 
このゲームに参加すればお前みたいに強いやつに会えるって信じてここまで来たからな。」
 
 
「僕にお前の絶望と希望を与える力はないよ。
 
 
僕を殺したところでお前に希望なんてないよ。だから僕がお前にここの参加者に見せた絶望と同じ絶望を見せてやる。
 
 
そしてあの世で悔い改めるんだな。」
 
 
 
僕は刀をグッと握って桐谷に向かって切りかかった。
 
 
 
キンッと金属音がなり思わず耳を塞ぎたくなるぐらいだった。
 
 
僕の振った刀は受け止められ次に桐谷が腰から2本目の刀を取り出し切りかかってきた。
 
 
1本目を刀で受け流し2本目を鞘で受け止め後ろに下がった。
 
 
 
 
「はははは。やっぱりこうでなくちゃ面白くないよな。
 
 
カスの相手してたから体が訛っちまったぜ。
 
 
おい新庄。いきがってたわりにこの程度か?」
 
 
 
こいつ…
 
 
強い。本当に強い。
 
 
 
悔しいけど僕には勝てないや…。
せめて時間稼ぎを…
 
 
 
それからもてあそぶように僕の攻撃を受け流し全く桐谷に傷をつけることができなかった。
 
 
それに対して僕は少しずつ受け止めるのも限界が近づいてきて刀が少しずつ体をかすめ始めてきた。
 
 
 
「ちっ。この程度か…。
 
 
少々過大評価し過ぎたみたいだな。じゃあもうお遊びも終わりだ。」
 
 
桐谷の目付きは変わり一気に間合に入られた。
 
 
シュッと振り抜いた刀と体の間に上手く刀を挟みなんとか耐えることができたがさっきの攻撃で刀はもう折れて使えなくなってしまった。
 
 
 
ごめん栞、七海ちゃん。
頑張ったけどダメだったよ。
 
 
 
逃げる僕をあざ笑うかのように詰め寄ってきて終わりを悟った。
 
 
「楽しかったぜ。新庄。
 
 
じゃあな。」
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