絶望の部屋(再)
「新庄…元気だしなよ。。
 
 
辛いのはわかるけど希望を見つけないとあんたまで死んじゃうんだよ?」
 
 
 
「希望なんて…希望なんてもう僕には残されてないよ。
 
 
栞だけが僕の希望だったのに…」
 
 
 
「私じゃだめなのかな…
 
 
栞じゃないとだめなの?私ならあんたのずっとそばに居てあげるよ?」
 
 
 
「ごめん…。
 
 
七海ちゃんが嫌ってわけじゃないけど僕は七海ちゃんの存在を心から希望にすることはできないよ…こんな曖昧な気持ちで七海ちゃんの気持ちに答えるのも間違ってると思う。」
 
 
 
「そっか…。
 
 
でもいつかあんたのこと振り向かしてやるわ。」
 
 
 
「ははは。ありがとう七海ちゃん。
 
 
僕を元気づけるために…。」
 
 
「さぁ、元気出してゼツボウのところにいこ。
 
 
それでこのゲームを終わらせようよ!」
 
 
 
「そうだね!
 
 
いつまでも落ち込んでたら僕まで死んじゃうもんね。」
 
 
 
泣いてたって帰ってこない。
前を向け。
 
 
死んだみんなの分まで生きるんだ。
それが生きたものの勤めだよな。
 
 
「新庄!!!」
 
 
 
「えっ…。」
 
 
それはあまりにも突然だった。
 
 
七海が血相を変えてこっちに走ってきたのはわかる。
でもなにが…
 
 
僕の前にかぶさるようになり七海は倒れこんだ。
 
 
「こ…れが絶望か新庄!!
 
つめ…があまかったな。」
 
 
そこには銃を構え血だらけながらも立ち上がる桐谷の姿がうつっていた。
 
 
「七海!!」
 
 
 
「くそ…女が邪魔しやがって。
 
 
俺は新庄に勝てないのかよ…。これが絶望か…」
 
 
 
桐谷はそう言うと足から順に黒く染まっていき約1分ほどで真っ黒に染まって倒れてしまった。
 
 
 
「くそっ。くそっぉ。」
 
 
また守れなかった。
一也…ごめん。僕が…僕がしっかりしてないからこんなことに…
 
 
「しっ、新庄…
 
 
死ぬのって意外に辛いもんね。」
 
 
撃たれた箇所から血が流れ目が虚ろの状態で話してきた。
 
 
「なんで僕ばっかり助けられないといけないんだ。
 
 
僕が死ぬべきだったんだよ…。」
 
 
「ううん。私はどうせ死ぬって決まってたから…。」
 
 
「えっ…なんで…」
 
 
「私にはもう希望はない。
 
 
だったら希望が少しでもある新庄に生きてもらう方がいいと思ったの。だから自分を責めないで。
私はやっと一也のところにいけるんだから幸せよ。」
 
 
 
「七海ちゃんまで死んだら僕だってもう希望なんてなくなっちゃうよ…
 
だから…だから僕を1人にしないでよ。」
 
 
「1人じゃない。
 
いつだってみんな一緒だよ。
最後にあんたと一緒に居れて私は幸せだったよ。
 
 
栞と一也には悪いけど私あんたのことほんとに好きなっちゃてたみたいだわ。
 
最後に七海って呼んでくれてありがとね。嬉しかったよ。私に新庄は希望をくれたんだからあんたにも希望が絶対あるよ。
 
 
だから私の分まで幸せになってね。」
 
 
 
七海は話し終わると同時に力尽きたように首をガクッと落とし目を閉じた。
 
 
もう終わりにしてくれよ。
僕にどれだけ大事なものを失わせるんだよ。
 
 
 
一也。約束守れなかった僕を許してくれるかな?
僕ももうそっちに行っていいかな。
もう僕疲れたよ。
 
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