絶望の部屋(再)
ダサいもなにもどうにかして希の機嫌を取り戻さないと命すら危うい。
 
 
絶望の部屋より僕的に希の怒ってる時が1番恐怖だ。
 
 
昔なんて…
 
 
希の靴を冗談で一也と隠した時なんて2人揃って木に縛られて棒で殴られ続けた。
 
 
どこにあの怪力があるのか…
あの細い腕にそんな力があるようには見ない。
 
 
希の先祖はたぶんゴリラなんだろう…
 
 
1人だけ並外れた怪力はそうとしか考えられない。
 
 
 
頭で色々考えてる間に僕の体はいつの間にか縄で縛られていた。
 
 
希…。
 
 
お前の縄はどこからでてきてる。
なぜいつも縄で縛って僕らを殴るんだ。
 
 
はやく普段の可愛い希に戻ってください。
 
 
だがこの願いは無駄だった。
いや、これはもうわかってることだろ僕。腹をくくれ。
 
 
「この手紙なに?」
 
 
「えっ…。なんだろねぇ?」
 
 
メキッ
 
 
僕の横にあった木がへこむ音がとても恐ろしく人ごととは言えない感覚でいつ自分に飛んでくるかわからない恐怖が僕の足を震わせた。
 
 
 
「もう一度聞くね。この て、が、み、は、な、にって聞いてるの。
 
しらばっくれるなら覚悟は出来てるってことだよね?」
 
 
希の顔は笑ってるように見えたが違うかった。
ここでいい加減なことを言えばほんとに死ぬ。
それは横にいる一也も悟ってる顔をしていた。
 
 
これ以上は騙せない。
 
 
この場にいれば誰でも感じれる恐怖から一也は今日あったこと、そして絶望の部屋に参加すること全てを話した。
 
< 28 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop