絶望の部屋(再)
「一也…」
 
 
「あぁ。」
 
 
「そうだね。」
 
 
楽しかったぶん辛かった。
 
 
希の泣いてる姿をもう見たくなかったが行かなければならない。
 
 
これは自分の決めたこと。弱さに勝つことだから。そう自分の心に言い聞かせ用意を持って立ち上がった。
 
 
この気持ちを押し殺すのが辛かった。
 
 
希が1番辛いだろう。
これから1人になるんだから。
 
 
「一也。勇哉。これ持っていって。」
 
 
希は肌身は出さず腕につけていたシュシュを二つ僕らに渡してきた。
 
 
このシュシュは希の思い出の詰まったものでいつも手につけていた。
決して外したことなかったのに…
 
 
「いいのか希?
 
大事なものなんだろ?」
 
 
「そうだよ希。
 
 
こんなの預かれないよ…」
 
 
「いいの。持ってて。
 
 
私だと思って大事にしてよね!
 
 
返すのは帰ってきてからでいいからさ!
 
返さなかったら私許さないからね!」
 
 
泣くのを必死に堪えて言ってるのが伝わってきた。
 
希の気持ちを無駄にしたくないそれしか考えれなかった。
 
 
「じゃあまた帰ってきたらちゃんと返すね!
 
 
それまでちぎれないように注意しないとね一也!」
 
 
 
「そうだな!
 
 
希は怒ったら怖いからな…」
 
 
 
「…」
 
 
 
学校に近づくにつれ希は喋らなくなった。
 
 
気持ちは痛いほどわかったので僕らも察して無言が続いた。
 
 
教室の前につき希は少し離れて笑顔をこう言った
 
「行ってらっしゃい一也、勇哉。
 
 
絶対帰ってきてね。」
 
希はそうゆうと僕らを教室の中に押し込んだ。
 
 
笑って見送ってくれたことに感謝しかなかった。
 
僕にはあんなことはできない。誰より辛いはずなのに、誰より泣きたいはずなのに希は笑顔を見せてくれた。
 
 
しまった教室は下がるはずはないのに下にエレベーターのように下がっていた。
 
 
希のシルエットは泣き崩れていることがわかる。
 
 
僕は唖然とした中やらなければならないことがあることを思い出し見えなくなりそうな希に「行ってきます。
必ず帰ってくるから待っててくれよ。
 
俺たちはいつでも3人一緒だからな。」
 
 
「う…ん
 
元気でね勇哉。」
 
 
 
希は見えなくなりその辺りから意識が薄れいき記憶が飛んだ。

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