絶望の部屋(再)
「まだ始まるまでしばらくあるので自己紹介でもしたらどうですか?
一応今はあなたがはチームなんですから。」
 
ゼツボウの提案どうり自己紹介をするのかと思ってたら周りがそんな雰囲気じゃなかった。
 
 
妙に殺気立ってとてもじゃないが僕から切り出す勇気はなかった。
 
 
さっき喋っていた安藤栞の方を見てみると僕と同じく周りをキョロキョロ見渡しながらテンパっているのがわかった。
 
横にいる知り合いっぽい子が話しかけ栞のことを落ちつかしていた。
 
まるでどこかで見たような光景だった。
 
 
「勇哉。キョロキョロしてどうしたんだ。
 
お前には俺がいるから安心しな!」
 
やっぱりこれか。
 
 
あの2人の関係は一也と僕みたいなものなんだろう。
だとするとあの子は頼りないのかな?
あのタジタジ感がほんとに他人とは思えなかった。
 
 
そして彼女も同じことを考えているのか目があいニコッと笑ってくれた。
 
 
あの子に昔何があったのを聞いてみたいものだ…
僕みたいにやっぱり過去に何かがあるからここにいるんだろうからな。
 
そんな興味はあるが僕にそれを自分から話しかけ聞く勇気は微塵もなかった。
 
 
「大丈夫だよ一也。
 
ねぇあの2人ならなんだか信用できる気がするんだけど話しかけてみない?」
 
 
「ふーん。さては勇哉お前あの希に似てる子に惚れたな。
 
 
俺にはわかるんだぜ勇哉。さっきからお前あの子の方しか見てないだろ。」
 
 
「え、え、え。
 
違うよなに言ってんだよ。ただこの中で1番話しやすそうだったから提案しただけだよ。」
 
一也のいきなりの攻めになんだか顔が熱くなって大きな声を出してしまった。
 
「へー、じゃあ俺があの子と仲良くなってもいいんだー。
 
 
必死になってゆうなんて新庄君にしたら珍しいですね~。」
 
一也が人をバカにしてる顔をしている。
その顔をみて何年ぶりだろうかこいつを殴りたいと思ったのは。
 
「勝手にしたらいいだろ。
 
僕は一也みたいに下心が丸出しの人間じゃないんだよ。」
 
 
そう言って一也のほうを見ると一也はすでにいなくなっていた。
嫌な予感とともに一也を探すと一也はやはり期待を裏切らずあの2人に話しかけていた。
 
 
やられた。
どうせいらないことをぺちゃくちゃと話してくれているんだろう栞がこっちを見て照れくさそうにしている。
 
 
僕はそれを見て気休めに手を振っておいた。
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