絶望の部屋(再)
「ふぁーっ。よく寝た。
 
 
あれ勇哉ほんとに起きてたんだな!」
 
少し後ろから呑気な声が聞こえた。
 
 
でも久しく聞いた人の声は怒りよりも僕に安心をくれた。
さっきまで1人でいたから余計に人肌が恋しかったのだ。
 
 
「か、かずなり!やっと起きてくれた。
 
よかったよ!」
 
 
辺りは暗くなっていてそこに一也がいるってことはしっかりとは確認出来ないが長年一緒にいただけあって薄暗く見える一也の影だけで一也だとわかった。
 
 
さっきまであんなに聞こえていた木々の擦れる音はもう聞こえなくなっていた。
たった数時間だと思われるかもしれないが僕にはとても長く感じる数時間だったことが感じれた。
 
 
「どうしたんだ?
 
なにかあったのか!?」
 
 
「いや、何もなかったよ!みんなが起きないから少し不安になってさ…」
 
 
「お前1人に頼んで悪かったな…
それより俺らこんな時間まで寝てたのか!?」
 
 
「いいよ気にしなくて!
ここはなんか疲れが普段の何倍にも感じるらしいんだ。だからたぶんこんな時間まで一也が寝ていたのはそれのせいだと思うよ!」
 
 
「まじかよ…
勇哉お前は大丈夫なのかよ?」
 
 
「えっ、僕は意外に大丈夫みたいだよ!
 
夜は危険だし2人で見張ろうよ!」
 
 
「そうなのか…
無理はすんなよ。」
 
 
「うん!」
 
強がりなのはわかってる。普通に考えれば起きておけるはずないのに不安が飛んだ今なんだか起きておける気がしたからそう答えてしまった。
 
 
それに一也1人に頼んで僕と同じ思いをさせるのも悪いと思ったからだった。
元々一也はここには来なくてもいいのに僕のパートナーになってくれてるんだ。
そんな一也1人に危ない目を押し付けて呑気に寝ることなんて出来なかった。
 
 
 
栞と七海を起こせばいいだろってなるかもしれないけど2人とも女の子なんだから無理をさせるわけにはいかないと思い僕は今無理をしてでも起きること選んだ。
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