絶望の部屋(再)
それから3日目4日目何事も起こらず少しつまらない感じもしたが平和な日が続いた。
 
 
つまらないとか思う僕はやはりなにかズレてるのかもしれない。
 
 
でもこうやって何日も4人で一緒に森の中をさまよったりしてると楽しくて自分が引きこもっていて無駄にした高校時代を取り戻したように感じていたのかもしれない。
 
 
 
見張りは極力僕と一也がしてどうしてもキツイ時だけ七海と栞2人に頼んでその日その日をやり過ごしていた。
 
 
そして5日目の昼頃にまたあのアナウンスがなった。
 
 
「えっと。みなさんお疲れ様でした。
 
 
陣取りゲーム一回戦は只今終了しましたので今から生き残った人達には部屋に帰ってもらい次のゲームまでの一週間こちらの施設で寝るなり遊ぶなり自由時間を与えたいと思いますのでご了承願いたいと思います。
 
ではまた1週間後この場所でお会いしましょう。」
 
 
1週間か…
なんて言うか悠長なゲームだな。
 
殺し合いをしてるってとこを除けば環境は整ってるしサバイバルゲームみたいなもんなんだけどな。
まぁでも殺し合いをしてるってとこが1番かんじんなんだけどな…
 
 
そう思うとなんだか複雑な気分になる自分がやはりいた。
 
まだ僕は誰も殺してないけど一也はもう四人もやったんだよな…
 
どんな感じだった?とか聞くのはやっぱり無神経すぎるよな。とか思うと僕が倒れている間の出来事を事細かく聞くことはできなかった。
もし自分が一也の立場でみんなを守るため人を殺してしまったのにどんな感じだった?なんて聞かれたらそれこそお前ってほんと無神経だなとか言ってしまうと思う。
人を殺していい感覚になるやつなんて1人もいないよ…例えそれが仕方のない状況で起こった事故であっても殺した人の顔は一生脳裏に焼きつくものだ。
 
そうそれは一也も…僕も同じだ。
 
 
「おーい、ゆーやー!!
 
 
疲れてたしさっさと部屋に戻って風呂でも入って寝ようぜ!どうせまたつまんねぇこと考えたんだろ?顔に出てたぜ!」
 
 
一也は僕の表情で察したのか明るく話しかけてきてくれた。
1番の理解者とも言える一也は僕のことなんてなんでもお見通しだってことを忘れていた。
今更過去を振り返っても意味ないし前向かないとな!そう一也は言ってるようにも感じれる笑顔だった。
 
ありがとな一也。
 
「そうだね。
 
 
5日間もお風呂に入ってなかったからみんなちょっと臭うしね!」
 
 
その言葉に栞と七海は反応し距離をとってきた。
 
 
距離をとられてようやく気づくのもなんだけど無神経だったな…
 
女の子に臭いなんて言ったら気になるに決まってるのに…
 
 
「えっと…あの。
 
なんかごめん。そんなことより早く帰ろうよ!せっかくの休みなんだし楽しまないと!」
 
 
僕は話を必死にごまかし出口に向かって走った。
 
 
そうして絶望の部屋での第1ゲームは終わり僕らは少しの幸せな時間をもらった。
 
 
だけどこの幸せな時間はそう長くないのはみんなわかっていることだった…
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