絶望の部屋(再)
一也は一向に帰って来ず1人の部屋で退屈しながら時計のカチカチと鳴る音だけを聴き続け2時間近く待った。
 
 
2時間後ようやく帰ってきた一也は大量の袋を下げて疲れきった表情で持っている荷物を重そうに帰ってきた。
 
 
「お、お帰り。
 
 
こんな時間までなに買いに行ってたんだよ!」
 
 
「おう!ただいま。
 
 
あぁこれね。これは明日の為の服とかこれからの為の食料だよ。」
 
 
流石はそうゆうところは徹底してるね。
 
明日の為の服なんて全く考えてなかった。そう言えば服は持って来てなかったからここにある服しかなかったから正直かっこ悪い服装だった。
まるで囚人を感じさせるまでの統一感とセンスのかけらも感じないこの格好で遊びに行くとかやっぱり僕は…
女の子と遊ぶのに向いてないな。
 
 
「安心しろお前の分も俺がしっかり選んで買ってきてるから大丈夫だよ!」
 
そうゆうと一也は僕に向かって幾つか袋を投げてきた。
 
 
「え…ありがとう。
 
でも大丈夫なのこの服。」
 
 
「任せろって!お前との付き合いは長いしどんな服が似合うかも大体わかってるよ!」
 
 
さすがと言うかなんて言うか…
 
 
まぁセンスの方は問題ないだろうな。一也は初めて遊んだ時からファッションセンスはあるやつだと思ってるし。
 
 
「う、うん。なんかさすがとしか言いようないね。」
 
 
「だろ?」
 
 
否定してくれ少しは…
 
 
一也以上の友達はいないけどこうゆう所は認めていいのかちょっとわからないな。
 
 
家族を失ってから毎日死人のような暮らしをしていた僕に希望をくれたのは一也と希だ。
 
 
引きこもる僕の家に毎日来て1度足らずも事件を掘り返すことなく笑ってあの事件から止まっていた僕の時間をもう1度動かすかのように接してくれて僕に生きる希望をくれた。
もし2人が居なかったら自殺していたかもしれない。
僕のもう一つの家族だったからこそこうゆうやりとりができるんだと思った。
 
 
男同士でこう言うのをゆうのも違うと思うやつはいるかもしれないでもそれ以上に一也は僕にとって世間の目なんか気にすることの出来ないくらい大事な人だった。
 
そう一也と希が世間に偏見を持たれても僕の家を訪れ続けたように。
 
 
その感謝を表す言葉は一言しかない。
 
 
「そうだね。ありがとないつも。」
 
 
「ん?なんか言ったか?」
 
 
 
「なんでもないよ!
 
 
明日も早いし僕もう寝るよおやすみ!」
 
 
「そうだな。また明日な。」
 
 
ありがとうを伝えるのは難しい。
いつかまたちゃんとお礼をしよう。
ここを生き残り外の世界に戻り希望を掴んだ時に。
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