絶望の部屋(再)
「おーい起きろよゆうやー。」
 
 
うっ。えっ。なんだなんだ。
 
 
一也が僕より早いなんて珍しく雨が降るよ。
 
 
「起きるの早くない?まだ6時じゃないか。」
 
 
「わかってねぇな。こうゆう時は早めに準備して早めに集合場所に行くのが基本だろ?」
 
 
基本だったのか。
 
 
僕の基本の中にその基本は入ってないよ一也。
そう心の中で言ったが実際には言えない。どうせまた怒ってくるからな…
 
 
「基本ね…
 
 
そんな早く行って出て来なかったら無駄じゃない?時間は効率的に1分でも長く寝れる日は寝とかないと損だよ?」
 
 
 
「これだから引きこもりは…
 
 
俺が女の子と遊ぶ時の基本を教えてやってるんだから言う通りにしとけばいいんだよお前は!!」
 
 
引きこもりで悪かったな。
一也がゆうとなんだか冗談に聞こえてくるから許せるんだよな…
あっ、本当に冗談だけどね。
 
 
「僕が引きこもりなら一也は女たらしだね。
 
 
僕と一也の価値観が違うんだよ。僕は寝れるだけ寝たい。」
 
 
 
「お!今日はなかなかしぶといじゃないか。
 
 
だが残念だったな今日の俺はお前より絶対にしつこい自信がある。」
 
 
その自信はいらないよ一也…
 
 
誇らしげな一也の顔を見ると本当に勝て気がしなかった。
希もそうだけど2人はちょっと強制的にさせるところがあるからな…
 
 
「はいはい。僕が折れればいいんでしょ。折れれば!」
 
 
「そうそう!
 
勇哉は素直なのがいいところなんだからそこのとこ忘れた駄目だぞ!」
 
 
素直にさせてるのは一也だよ。
 
 
参ったな…
 
 
引きこもり生活ではこの時間は深夜にあたる時間だよ。
 
 
3年も続けた僕の引きこもり生活の邪魔をしやがって…なんてバカなことをゆうこともなくしぶしぶベッドから降りて用意をし始めた。
 
 
 
一也が買った服は予想以上に僕にあっていてセンスもすごく良かった。
1つだけ文句をゆうなら少しチャラそうに見えるのが恥ずかしいかな…
 
 
「どう一也?似合ってるかな?」
 
 
 
「完璧!!俺の目に狂いはなかった。
 
 
勇哉のことならなんでも知ってるからな!!」
 
 
 
「もぉそこは素直に褒めとくよ。」
 
 
 
「やっとわかったか!
 
 
 
それより勇哉ちょっとこっち来い!」
 
 
一也に呼び出され洗面台の前に行くと一也が髪型までセットしてくれた。
 
 
「こんなボサボサの頭のままで行ったら笑われぞ!!
 
 
せっかく服装は決まってるのに寝癖だらけの頭で行ったら笑われるぞ!」
 
 
 
「え、あ、うん。確かにそうだね!
 
 
なんか何から何までありがとな一也。」
 
 
一也の髪のセットは早くあっという間に完成しいつもの自分と少し違う気がするぐらいだった。
 
 
「よし!これで完璧だ!
 
 
今日は気合いいれねぇとな!」
 
 
 
「僕はほどほどにいくよ…」
 
 
気合いの入った一也はまだ1時間前なのに部屋から出て行ってしまった。
 
 
はぁ。もう少しベッドの上でゴロゴロしたかったな…
さようならベッドよ。次会うのは何時間後だろ。
 
 
最愛の友であり一生のパートナーであると信じたベッドとお別れをさせられまだ先の長い待ち時間の集合場所にトボトボと歩いて行った。
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