絶望の部屋(再)
それからと言うものあらゆる絶叫を2人で乗っていた。
 
 
途中で一也達を探さなくていいのか?と言う疑問がでてきたが栞は探そうとする気配もなくいつの間にか2人で楽しんでいた。
 
 
「新庄君こっちこっち!!
 
 
次はあれに乗ってみようよ!」
 
 
 
ふぅ。また絶叫か…とか最初は思っていたけど今になると楽しみもある。
 
 
栞は絶叫が好きと言うがそれほど得意ではないらしく怖くなると僕の腕にしがみついたりしてくる。
絶叫の怖さよりこれの楽しみが勝りいつの間にか絶叫に対する恐怖心はなくなっていた。
 
 
それから僕らはここの遊園地のありとあらゆる絶叫という絶叫を制覇し、時間はいつの間にか夕方になっていた。
 
 
少し疲れたこともありベンチで夜のご飯を食べていた。
 
 
栞は最初楽しそうに話していたが突然気分が悪くなったような様子になり栞の方に近づくと栞がガタガタと指を震わせながら僕の後方を指差していた。
 
 
異様な様子に焦り後ろを見て見るとそこには薄気味悪い鬼達がゾロゾロと歩いていた。
 
 
 
先頭に赤鬼が立ち、その後ろを守るかのように立っている青と黒の鬼。
 
 
黒鬼はペットのように扱われ1番下の身分なのが見て取れた。
 
 
僕の知ってる鬼の立場とは全く逆の光景だった。
 
 
 
そしてその3種の鬼から少し離れたところに金と銀の鬼がなにやら人らしい物をズルズルと引きずりながら歩いていた。
 
 
僕はその様子から身の危険を感じ栞と一緒に地面に這いつくばった。
 
 
ドスドスと歩く鬼達は辺りを見回すようにキョロキョロと観察していた。
 
 
栞はガタガタと体全体を震わせ表情もとてもじゃないが和やかと言える表情ではなかった。
 
 
その中で冷静に息をころしながら少しずつ距離をとっていた。
 
 
 
物陰にまで辿り着きひと段落ついてグッタリ座り込んでいると黒の鬼が鼻をムズムズと動かしていた。
 
 
嫌な予感はしたが栞はどう考えても立って逃げれる感じではないし僕自身も足が震えて走れる状態ではないことを自分が1番わかっていた。
そんな状態でできることはただ一つで2人で手を合わせ祈ることしかできなかった。
 
 
 
黒の鬼だけが辺りをやたらに見渡し赤鬼に何かを伝えに向かった。
 
 
「ニンゲンノニオイガスル」
 
 
赤鬼に言い放ったその一声で栞はパニックになり気を失ってしまった。
 
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