絶望の部屋(再)
後ろ振り返ることもなく全力で遊園地内を走り回ってようやく広い場所に出てグッタリと座り込んだ。
 
 
こんなに走ったのなんていつ以来だろうと思うぐらい久しぶりの全力疾走でおまけに生死をわける大事だ。火事場の馬鹿力なのか思ったよりは疲れは思ってるよりなかった。
 
なにより凄いと思ったのがあの状態から逃げ切れたこともそうだが、横に寝かせていた栞を一瞬で抱えてちゃんと走ってきたことだった。
 
走っている最中は何も考えることができず栞を抱えているのか抱えていないのかも曖昧で、もしかしたら置いて来てしまったじゃないのか…とか言う最悪の想像もしていた。
だが最悪の想像は避けられちゃんと栞を助けることができた。
 
 
栞が眠っている姿を見たらなんだか生きてることが実感できようやく冷静にもなれた。
 
 
 
しばらく眠っている栞の横に座ってグッタリしてると栞が意識を戻し始めた。
 
 
「!!!
 
あれ…あの鬼達はどうなったの?なんで私…え、なんだろ記憶が飛んで全然わからないよ。」
 
目を覚ました栞は起きた途端怯えながら辺りをキョロキョロ見渡し恐怖心丸出しの表情で話した。
 
 
「僕もいまいちわからないんだけど僕らの他にも人がいたみたいでその人達が先に気づかれたみたいでその隙にをついて逃げれたんだと思うんだけど…
 
 
僕も焦り過ぎて何がおきたかいまいちわからないんだよね…」
 
 
 
「そうなんだ…
 
でもまた私新庄君に助けられたんだね。ほんとにありがとう。もうなんてお礼を言ったらいいかわからないけどほんとに感謝してます。」
 
 
「ううん、助けてもらってるのはお互い様だから困った時は男の僕がしっかりしないといけないと思っただけだよ!
 
2人ともこうして生きることができたんだから素直に喜ぼう!」
 
 
「うん!そうだね。
 
 
でも今回はほんとにありがとうね!やっぱり新庄君って男の子なだけあって普段はそんな感じだけどしっかりしててかっこいいね!」
 
 
「かっこいいだなんてそんなことないよ…」
 
 
好感度アップか?
なんて思いたいがさっきの事があったからまだ心理的に喜びきることができなかった。
 
 
今はただ2人とも生きてることを奇跡だと思い僕の運も捨てた物じゃないことがわかってホッとした気持ちが1番大きかった。
 
 
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