絶望の部屋(再)
花火を2人でゆっくり見て色々と話し込んでいるといつの間にか花火を終わってしまった。
 
 
楽しい時間とは一瞬に感じるものだ。
散っていく花火を見て切ない気持ちが溢れてくる。
 
 
僕は花火とは人生と一緒だと思う。
綺麗に輝くのは一瞬。だけどその一瞬の為に生きている。
その一瞬をいかに輝けるかが大事なんだと思う。
 
 
自分の輝ける場所を見つけるのは大変なことだ。だけど僕はようやく見つけることができた。
栞を守ってこの絶望の部屋をみんなで一緒に出て活路とやらを開かせてもらう。
 
 
栞の手をさっきまでより強く握りしめ言った。
 
 
「来年も一緒に花火見れたらいいね!」
 
 
「あ、それ私も言おうと思ってたのに!!」
 
 
そうしてお城を後にしてもうじき閉園らしいから出口に向かった。
 
 
出口付近で一也と七海も2人で歩いていた。
よく見るとカップルらしい奴らが結構いてみんなこの遊園地に来ていたみたいだ。
 
 
「あれ、勇哉じゃないか!
 
今までどこ行ってたんだよ。探したんだぞ。」
 
 
「ごめんごめん。
 
 
ついつい楽しくなっちゃって…」
 
 
「そんなことより2人で手繋いで歩いてるってことは…」
 
 
「え…!」
 
 
そう言われて慌てて手を離してしまった。
 
 
手を離した途端栞がこっちを睨みつけてきた。
この睨みは希を思い出すような睨みで顔が似ているだけあってもう瓜二つだ。
 
 
慌てて手を握りなおすと一也がニヤニヤとこっちをみて笑ってきた。
 
 
「ふーん。勇哉にしたら頑張った方じゃないの。
 
 
ちゃんと守ってやれよ。」
 
 
「わ、わかってるよ。
 
 
そのつもりでちゃんと告白したし。」
 
 
「少しは成長したな勇哉も。」
 
 
いつも上から目線なのに憎めないのは一也の事をそれだけ大事に思ってるしいい奴だとわかってるからだ。
 
 
一也は素直じゃないとこもあるがいつも僕を助けてくれる。
 
 
「そう言えば一也達はどうなったの?」
 
 
女子軍が少し離れたところに居たから小さい声で聞いてみた。
 
 
「え。付き合ったよ。」
 
 
軽いな…
 
 
僕なんてあんな必死だったのに。
 
 
むしろそのスキルが欲しい。
 
 
「そ、そうなんだ!
 
さすがとしか言えないね…」
 
 
「まぁな!!
 
まぁお互い頑張ろうや!」
 
 
「そうだね…」
 
 
そう言うと一也は七海の方に行ってイチャイチャし始めた。
 
 
その光景を呆然と僕と栞は眺めることしかできなかった。
少し目が合うとお互い顔が赤くなって僕らにはあんな感じにはまだ早いなと思わされた。
 
 
「僕ら先に帰ってるね一也…」
 
 
 
「あ、ちょっと待てよ勇哉。
 
俺も一緒に帰るから。」
 
 
一也は小走りで僕の方に走ってきて遊園地を出て部屋の方に向かった。
 
 
七海と栞の部屋まで送り今日は解散することになった。
 
 
「じゃあまた明日な七海。」
 
 
「うん!また明日一也!」
 
 
さすが一也。行動が早い。
 
 
僕らは目が合ってるって言うのにまだ見つめ合うことしかできなかったのにな…
 
 
「おい勇哉行くぞ!!」
 
「あ、ちょっと待てってよ…
 
 
あの…栞。また明日。」
 
 
「え、うん。また明日ね。」
 
 
僕らやっぱりあんな風にはなれないけど僕ら僕らのペースで頑張ろう。
 
 
1週間の休憩の残りはあっという間に過ぎ、残りの3日間も4人でほとんど一緒に過ごした。
 
 
 
そして楽しかった時間は終わり地獄の日常はまた始まったのだった。。
 
 
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