絶望の部屋(再)
ゲームは始まったが相変わらず最初は静まり帰ってスタートした。
 
 
ここの気温は外で言う真冬にあたるぐらいの寒さで小刻みに手が震え違う意味で体力が奪われているのが肌で感じれた。
 
 
「ちょっと寒いねここ。」
 
 
「そうだな。この服そんなに厚手じゃないもんな…」
 
 
そう一也の言う通りこの服は見る限りどちらかと言うと夏に向いているような感じで冬にこの服を着て外に出ろと言われれば間違いなく行かないだろうと思えるような服だった。
 
 
「ねぇ一也。今回は待ってるより動いて戦った方がいいんじゃない?
 
 
だって止まってるといざって時もたぶん動けないよこの寒さじゃ。」
 
 
「うーん…確かにそうかもしれないな…。でもな。。」
 
 
少し不満そうな表情をしながらも仕方ないかもと言う感じの様子で悩んでいた。
 
 
「このルールに乗っ取る以上そっちの方が絶対生き残れる確率は上がるはずだよ!」
 
 
 
「うーん…。
 
 
よし、そうしよう。七海、栞行くぞ。」
 
 
「うん!!」
 
 
「あ、はい!」
 
 
2人は寒そうに体を小刻みに震わしながら起き上がり手を握ったり閉じたりして感覚を確かめるようにしていた。
 
 
それからしばらく歩いて体も少し温まりようやく余裕が出てきたのかみんなの表情がいつもに近づいてきた。
 
 
洞窟内はとても静かで僕らの歩く音がよく響いていた。
それに道が入り組んでいて自分達が最初にいた場所に戻ろうなんて考えが起こせないほど広い場所になっていた。
 
 
 
「誰もいないしなにもないな…」
 
 
「そうだね。まぁ誰にも会わないことはいいことだよ!」
 
 
「まぁ確かにな。でもここまで歩いて誰とも会わないと少し不安になるものを感じねぇか?」
 
 
「うーん…まぁわからないこともないけど考えすぎなんじゃない一也!
 
 
いいように考えようよ!」
 
 
 
「そうだな。」
 
 
栞も七海もこの意見には賛成したのかウンウンと頷いていた。
 
 
一也が感じる不安はこのゲームは何があるかわからないからだろう。
前も変なルールを突然アナウンスで伝えてきたし…
 
 
 
今回のルールってなんなんだろ…
 
 
この寒さがルールの一環なのかな?ってこれはただの気温だから違うか。
じゃあ洞窟で何かあると言えば…
 
 
カチッ
 
 
 
カチッ??
 
 
何の音だろ…
刀とベルトが擦れる音かな?なんて甘い予想は次の瞬間消えた。
 
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
 
 
 
前から転がってくる巨大な石。
しかもなかなかの速さで転がってこっちに向かってきていた。
 
 
さっきまであまり会話がなかったのにみんながあたふたとし始め全員同じ方向に全力で走りはじめた。
 
 
ルールってこれか。って納得して場合じゃない。
あの石に踏まれたら絶対死ぬのな…
とにかく逃げるしかない。
 
 
「まて!!行き止まりだ!」
 
 
1番先頭を走っていた一也が大声をあげた。
 
 
行き止まりと言っているがそんなはずはない。だってさっき歩いてきた方向に進んでるのだから絶対道がないはずがないのに行き止まりだなんてあり得ない。
 
 
まぁでもここではそんな世間一般で通る理屈も簡単に覆してくれる場所だから本当なんだろうってことは察しはついた。
だけど察したところで今更方向転換する時間はあの石の速さと僕らの距離から考えて不可能だ。
 
 
 
色々考えているが何も出てこずどんどん石との距離は縮まっていきついに目と鼻の先まで来てしまった。
 
 
終わった。ここで死ぬのか。
 
 
 
「穴があるそこの穴に飛び込め!!」
 
 
一也が大声で発した瞬間壁を見ると人が入れそうな穴が空いていた。
 
とっさの判断で栞の手を掴み壁に飛び込んだ。
 
 
 
ドンッ。
 
 
後わずかなところでギリギリ穴に入って石に挟まれずにすんだみたいだ。
壁の穴で少し息を整えていると壁が下に落ちて一也と七海とバラバラになってしまった。
 
 
「痛たたたたっ。
 
 
大丈夫だった栞?」
 
 
 
「うん。大丈夫だったけどいつまで間違ってるつもり?
 
 
ちゃんと見て助けなさいよ。」
 
 
えっ。
 
 
よく見ると手を握りしめていたのは七海だった。
今更気づいたのかと深くため息をついて七海がこっちを見ていた。
 
 
「あんたってほんとそうゆうとこ抜けてるよね。」
 
 
「あはははは。ごめんなさい。」
 
 
「別に謝らなくてもいいわよ。
 
 
一応ほらなに、助けてもらったしそのありがとう。」
 
 
七海が始めて僕に直接お礼言った気がする。なんだかんだでまともに2人で話すのは始めてだったけど一也が選んだだけあっていいところもあるかもって思えた。
 
 
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